ボーカロイドの作曲をする際に初音ミク等の声の打ち込みって意外と大変ですよね。これからボカロPになるべく頑張ろうという方向けにベロシティとダイナミクスの使い方を書いていきたいと思います。
発音をはっきりさせることができるベロシティ(VEL)
ベロシティ下げて使うのが基本
VELはベロシティの略で発音をコントロールする役割をしています。つまり言葉をはっきり出すためのパラメーターということです。てっとり早く覚えるのであればベロシティのグラフを下げれば下げるほどはっきりとした発音となっていくのでこれだけでも覚えておくと簡単に発音の調整を行うことが可能です。ですが、言葉によっても効果が異なってくるのと前の言葉が何かによっても印象が変わってきます。奥が深いですが、慣れてくるにつれて適切に扱えるようになってくるかと思うので大丈夫です!
ベロシティの特徴
- さ行、は行では言葉の前の息の成分やノイズ成分が音符のタイミングより先行して発音される
- な行、ま行、ら行、わ行では発音直前の口を閉じた状態の「う」や「む」の音が音符のタイミングより前に加わる
- ベロシティを変更した言葉の直前にある言葉短くなる
このような特徴があるので慣れないうちは確認しながら行うことをおすすめします。
ベロシティを上げると滑らかなつながりになる
それではベロシティのグラフを上げるとどうなると思いますか?はっきりの反対になるのでもちろんなめらかな発音となります。次の言葉へ滑らかに繋がる印象です。このようにベロシティのグラフを変えるだけでボーカロイドの発音の印象ががらりと変わります。アップテンポの曲やロックなどははっきりとした発音のほうが相性が良いのでベロシティをさげてみると良いかもしれません。逆にゆったりとした曲、バラードなどはベロシティをあげて滑らかにやわらかい歌い方に調教すると良いかと思います。
抑場をつけるダイナミクス(DYN)
ダイナミクスとは音量を変化させるパラメーターのことを言います。この音量の変化が結果としてボーカロイドの歌い方に抑場を付けることになります。
音量は表現と聞きやすさの両方にとって大切な要素
音量と聞くとそんなに重要なことなの?と疑問に思う人も多いかと思います。これはボーカロイドで考えると大切と言えば大切ですが、あえて変更しないのも手なのではないかと僕は考えています。なぜなら、抑場がある歌い方と無機質な歌い方ではそれぞれに良さがあるからです。抑場がある歌い方の例としては、宇多田ヒカルや平井堅、EXILEなど歌がうまいと感じる人やグループがわかりやすいと例だと思います。逆に抑場がない歌い方の例としてはPerfume、きゃりーぱみゅぱみゅ、初音ミクなどがあげられます。Perfumeは一時期、口パクなのではないかと言われていた時期があったと思いますが、それは抑場のない歌い方にあえてしているので機械的な無機質な印象を与えたからだと思います。これはどちらが良い悪いではなくどちらの歌い方にもそれぞれの良さがあります。このようなことを踏まえて考えると初音ミクなどのボーカロイドに抑場をつけるというのは必ずしもしないといけないことではないと思います。あくまでもバリエーションを増やすものだと考えて、曲によってダイナミクスを変更していくと良いのではないでしょうか。
ちなみにですがエンジニアはミックスダウンの工程において、歌とオケのバランスを取りつつ、聴こえづらい言葉の一部分だけ音量を上げたりもします。音量は表現と聴きやすさの両方にとって重要と言えます。コントロールパラメーターでダイナミクスを選ぶと、連続変化を示す帯状のグラフが表示されます。64がデフォルトで127が最大、0で最小となります。このグラフに鉛筆ツールやラインツールで書き込んで音量変化を作っていきます。
言葉を強調するには
ラインツールと鉛筆ツールそれぞれで言葉を強調するときのコツです。
- ラインツールで強調する
ラインツールで強調する場合は、後ろ側から2回に分けて描くのがコツです。まず強調したい音符の頭の少し右でデフォルトの64の高さでクリックし上げたい音量までドラッグして斜めの線を引きます。すると三角形が出来上がります。このままだと音量の上がり方が急激すぎて不自然なので、上げた音量の高さから音符の頭の少し左側の64までドラッグします。(逆に64から上にドラッグしても大丈夫です)。これで、山型のグラフが出来上がり、言葉の頭部分で一瞬だけ、なおかつ自然に音量を上げることができます。グラフを描く時のコツは元の音量が変わらないようにすることです。ラインツールの終点の値を設定すると以降もその値になるので左側の数値を常に確認しましょう。
- 鉛筆ツールで強調する
「が」のようにもともと言葉の頭がはっきりしているものは山型にしなくても自然に強調できる場合があります。そういうときは鉛筆ツールを使った方がより簡単にグラフを描けます。まず音符の先頭のタイミングでなおかつ上げたい音量の高さでクリック&ホールドしそのまま水平に右へ少しだけドラッグします。ホールドをやめると鉛筆ツールの終点以降の部分の音量が上がります。次に鉛筆ツールを「が」の先頭から少しだけ離した位置でなおかつ元の音量の高さでクリック&ホールドし水平に右へドラッグします。ホールドをやめると「が」の頭だけ一瞬音量が上がるグラフになります。実際に聴いてみると音量の上がり方が少し不自然に感じるかもしれません。しかし、ロック系などの激しいサウンドの曲ではこれくらい極端にしないと効果的でない場合もあります。言葉を聴きやすくするための音量コントロールはオケを鳴らし最終的な歌とオケのバランスも考えながら行うとより良い仕上がりになるでしょう。なお、ラインツールと鉛筆ツールは最後にホールドをやめた位置の値や以降も維持されることを覚えておきましょう。ただし、これは変更も可能です。プリファレンス画面内のVOCALOIDシーケンスタブにある「コントロールパラメーターの描画動作をV2互換に」へチェックを入れるとホールドをやめた位置で前の値へすぐに戻る動作になります。
このように一つ一つの言葉であっても調教していくと全体的な印象ががらりと変わってきます。もちろんこのようなテクニックはたくさんある中の一例でしかあります。自分でベロシティ、ダイナミクスを変更して経験を積んでいくことで自分なりのテクニックが見つかるかもしれませんね!
他にもボーカロイド(初音ミクなど)の調教について掲載しているので参考にしてみて下さい。
「Time leap」スタティックスエコー×音崎リタ オリジナル曲
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